山本「あ、それは挨拶の文章を考えなくて良いから楽ですね(笑)」
管理人「いつも試作品を頂いているので、もう大概のものでは驚きませんけど、この間頂いたお菓子はびっくりしましたね。タルト生地の代わりに最中を素材に取り入れたものも驚きましたし、モンブランヴェールに至っては電話の説明ではどんなものかイメージすら出来ませんでした。」
山本「僕はフランス菓子の技法を取り入れた創作菓子職人ですから、言ってみればフランス文化の一部を輸入している訳です。しかしフランス文化は進歩に貪欲ですからその精神を生かしたいのです。中華料理の革命となったヌーベルシノワだって、中華の原点は大切にしたまま、自由闊達(かったつ)な発想で斬新な料理を次々と生み出しましたよね。僕がおそらく初めてタルト生地の代わりに最中をケーキ食材に取り入れたのもそうですし、合わせるのが難しい抹茶と苺の組み合わせで、和菓子の外観を持ったモンブランヴェールを考案したのもそういう気持ちの現れです。」
管理人「常識外の答えを出すのは相当勇気が要りますね。」
山本「でも非常識な解であるからこそ、淘汰を受けずに残れば世の進歩に貢献した事になるし、衆目一致のブランドになりますよね。しかも一旦ブランドになった後でさえ十年一日の商売では決してなく、お客様を積極的にリードして最高の満足を与え続けていく責務を負っています。ブランドの歴史を追ってみればワンパターンに見えて、変わり続けている事に気づかされるのです。ブランド信仰を批判する方も多いですけど、僕にとってブランドには見習う点が多いのです。その積み上がったストーリーに高額を払う事に価値があるからです。」
管理人「以前大阪で作家・堺屋太一氏の講演を聞いたのですが、ブランド品の材料代や工賃を合わせて1とすると、付加価値分が価格の99パーセントを占めるのだそうです。ブランドの価値を軽視すると大変な事になりますね。作るという作業に価値があるのではなくて、何を作るかを考案する事に価値のほとんどがあることになります。」
山本「新興店のオーナーである僕などがブランドを語るなど100年早いのですが(笑)、僕が考案するレシピが息長く支持される商品に育ってくれるといいなと思っています。そのために払う苦労は決して苦痛ではありません。調理人になった事は良い選択だったと思います。一生をかける価値がある仕事だと思いますよ。」
管理人「どうもありがとうございました。それではこれをまとめて挨拶にしておきますので。ところで、年末に六本木ヒルズのラトリエ・ドゥ・ジョエル・ロブションに行く予定なんですけど、どんな感じなんですか?」
山本「斬新ですよー。料理のスタイルも、お店のレイアウトとかも(以下略)」
(以降、延々と夜中まで食べ物の話が続く)
<注>当挨拶の文章は2004年2月に再推敲を行いました。対話の要約部分を微妙に変えておりますが、意趣に変更はございません。
いつもこんな感じでホームページを作っています。このページをお読みくださった皆さんも、バニーユのケーキの感想を当サイトへお送り下さい。
<ウェブサイト管理人敬白>
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